言い表せない不安に瞳を揺らしながら、少し距離を取る様に朧源の後を付いて行く。 屋敷の中に上がり、廊下を進んで行くと、ある部屋の前で朧源は足を止めた。 ……ここは……私の部屋。 朧源が見覚えのある襖を開くと、そこには馨さんの姿が見えた。 「お帰りなさいませ……凪様」 そう言って馨さんは私に向かって深々と頭を下げる。 「私はこれから色々とやる事があるのでな。巫女の相手は任せた」 朧源はそう言うと静かに廊下の先へと消えて行った。