「さぁ~て……準備はOK?」 火伏さんのその問いに、皆が小さく頷く。 目の前には空にも届きそうな高層ビルが立っていて、それを見上げたままゴクリと息を呑んだ。 ビルの陰に隠れる様に立って、火伏さんは高層ビルの様子を窺っている。 辺りにはスーツ姿のサラリーマン達が行き交い、いつもと変わらない風景が見えた。 しかしその中にチラホラと黒い影が過る。 ……生徒達だ。 黒い制服に身を包んだ生徒達は、少し険しい顔をして辺りを巡回している様だった。