「十九枚目……バツ」 男が微かに震える声を漏らしたその瞬間、辺りに大きなどよめきが走った。 《火伏総家は本当に愚かだな》 《あんな罪人を庇おうと言うのか》 《……無駄な事を》 バツを入れたのが誰だか分かっている様に、代表者たちはヒソヒソと囁きながら嘲笑を浮かべた。