「前巫女の受け売りか?実に……くだらない」

朧源はそう言ってニヤリと笑みを浮かべると、黒服の男達に目配せをした。

「執行は明朝行う事とする。以上だ。……連れて行け」

朧源のその言葉と共に父がまた引き摺られる様に部屋の奥へと連れて行かれる。

……明日の朝……お父さんは死ぬ。

その残酷な現実に眩暈がした。

離れて行く父の背中を見つめたまま、グッと唇を噛み締める。

……もう時間が無い。

心の中で小さく呟いた次の瞬間、父と入れ替わりに一人の男が姿を現した。