「……ココだよね」 自分に確認するように小さく呟くと、目の前の中庭を見渡す。 さわさわと囁く様に揺れる木々に、中庭の池の水面に映る月。 何処からか漂う甘い花の香りに、微かに吹いて来る心地よい風。 ……本当にここが地下なのだろうか。 そんな事を思ったまま視線を移すと、一際立派な大樹が見えた。 ……これの事なのかな。 静かに中庭に下り木に近付いたその時、私の目が捉えた姿に思わずゴクリと息を呑んだ。