「……馨」 急に眞水さんが彼女を呼び止め、彼女は背を向けたままその場に立ち止った。 「お前……知っていたな」 眞水さんが空に浮かぶ月を見上げたままそう呟くと、辺りに一瞬の静寂が広がった。 眞水さんのその呟きに、グッと息を呑んだ。 ……彼が言っているのは、私が馨さんに頼んで火伏さんに話を通してもらった事だと思う。 そうしたら彼女も火伏さんと同じ様に裁かれてしまうのだろうか。 ……そんなの絶対に嫌だ。