少女は片手でその重そうな扉を押し開くと、私を振り向き、先に部屋に入る様に促す。 そのままゆっくりと扉の隙間を抜けると、そこにはあの鬼の男が立っていた。 真っ赤な絨毯の敷かれた広い部屋には、アンティークの様な家具や古い置物などが至る所に置かれている。 「魅麗、お前は外せ」 男が少女に向かってそう言うと、少女は少し窺う様に私と男を交互に見つめ、それから静かに部屋から出て行った。 私と男二人だけのこの状況に緊張しているのか、私の背筋に不快な汗が滲み出す。