ベッドを眺めながら、考える。
( ・・・もう一回寝たら、元に戻るかな? )
しばらく考えていたが、ヤメた。
再び、目覚めて、老婆だったら非常に困る。 更には、アリンコだったら、どうする?
カフカの『 変身 』じゃ、あるまいし、それは無いと思うが、万が一という事もある。
とりあえずは、このままだ。
( それにしても・・ この顔で学生服は、どう見ても似合わん。 ボーイズ・ラブに出て来る、美少年みたいだな )
やはり、健一にからかわれるのは、必須のようだ。 まあ、仕方ないだろう。 僕のせいじゃない。
ため息を尽きながら、僕は洋服タンスを開けた。
「 ・・・・・ 」
洋服タンスの中には、女子高生の制服が掛かっていた。
・・・ナンで、こんなモンがある? しかも私学の名門、武蔵野明陵じゃないか・・・!
言っとくが、僕の頭じゃ入れんぞ?
ブレザーの襟には、3―Aという学年章が付いていた。 設定が違うじゃないか。 僕は二年生だぞ? 勝手に、歳を一つ取らせんじゃねえよ。 僕の青春を、返せ!
僕は、誰かに向かってクレームを入れた。
・・・しかし、虚しくなるばかりである。
とにかく、これを着なくてはイカンようだ。 先程の母の話では、誰かが迎えに
来るらしい。
僕は、ジャージを脱いだ。
瞬間、目が飛び出るほど驚いた。 何と、ブラジャーを着けている!
僕は変態かっ・・・!?
「 ・・・これも、僕のせいじゃない 」
見なかった事にして、ブラウスを急いで着る。
左ボタンは、掛け難い。 何で、男女で反対なんだ? 納得出来ん。
ブラウスの裾を、なるべく長くし、下半身が見えないようにして、下のジャージを脱ぐ。
朝っぱらから、際どい絵だ。 心臓が破裂しそうだ。