「はい」
ショーコがすっとペーパータオルを渡してくれて、私はせかせかと拭く。


「で、誰がタイプ?」
「サトウ君とかは? て言うかヒロ、付き合ってる人いる?」
いない、と答えてから、私は視線を泳がせる。泳いで逃げても、二人の追求の眼差しの方が強い。

「背は私より二十センチくらい大きくて」
「うんうん、じゃあ百八十くらいか」
「……」
「え、あとは?」
「……あとは」


「時給千円、駅から二分、シフトは自己申告制で週三日から!!」


突然ショーコが立ち上がった。

「は?」
「何、ショーコ……」

ショーコは丸めたタウンワークとケータイを持って、
「電話してくる」
とどこかに行ってしまった。


「いーなー、そのバイト…」
私はポテトをかじって呟いた。
「違うでしょ、ヒロさん」
「そう、ヒロ、『あとは?』」

私は二人の顔を見比べて、口を開く。

「……正義感のある人」
リナとサオリは一緒に吹き出した。笑うことないじゃん。

「あはは、ヒロらしい」
「じゃあイシカワ先輩は?」
「あー、イシカワ先輩なら身長もあるし、副部長だし」