アリスズc


 リリューが、それに気づいたのは、まだ宵の口のこと。

 ハレとホックスが、学問的な話をしている最中。

 リリューは、シッと二人の声を止めた。

 モモも、瞬間的に緊張した。

「どうせ、もうこの辺にはいないぜ」

「手間かけさせやがって」

 男が数人。

 松明を持って、こちらの方へ近づいてくる。

 何かを探しているようだ。

 彼らも火を焚いていたので、探しているものの手掛かりにならないかと様子を見に来ているのだろう。

 夜盗とは違うようだが、リリューは警戒を解かなかった。

 町からは、まだ遠い。

 そんなところを、夜を歩く男たちである。

 おそらく、丸腰ではないだろう。

「おっと…」

 お互いの火で、顔が見える距離で相手が止まる。

 橙に浮かび上がる男たちは、決して良い人相ではなかった。

 正確には──よい気配ではなかった。

「どうかしましたか?」

 リリューは、慎重な声で問いかける。

 その声を脇に置き、男は松明を高めに掲げた。

 視線は。

 モモに。

 だが、探しているものではなかったようだ。

 すぐに松明を下げる。

「そこの娘くらいの年の、女を見なかったか?」

 男たちは、じろじろと彼らを見る。

 リリューを、ホックスを、モモを──ハレを、三度見た。

「いや…見ていない」

 息を、整えた。

「そうか…」

 男たちは、そのままためらいなく剣を抜いた。

 ハレを見て。

 抜いた。