アリスズc


 テルは、ヤイクの帰りを本当に待ちわびていた。

 帰都したと報告が入るや、真っ先に宮殿へと召し上げたのだ。

「ちゃんと土産は持ってきたな?」

 ただいま戻りましたの挨拶もそこそこに、テルは本題に入った。

「はい…六人の名前と二人の首と一人の身柄を」

 ヤイクは、数字で成果を示した。

 聞けば聞くほど、テルは背筋がぞわぞわするのを止められなかった。

 やはり、異国人は入り込んでいた。

 その上、この国にはない魔法のような武器を使ったというのだ。

「その爆弾とやらは、手に入れて来たのか?」

 それを使えば、誰もが火の魔法のようなことが出来る。

 テルの心に、強く引っかかるものだ。

「はい、勿論。幸い、一人の爆弾使いは、屋外で倒されていたので、爆発せずに残っていましたからね」

 しかし、ヤイクはそれを宮殿には持ち込まなかった。

「危険なものですので、万が一ここで爆発でもしたら大変でしょう」

 次期太陽のこの身を、気遣ってくれたのか。

 ありがためいわくな話だ。

「ただ、爆弾の存在を…キクは知っていましたよ。おそらくウメも…殿下の母上も知っているのではないでしょうか」

 テルの表情を見て、ヤイクはするりと話を変えた。

 ここに持ってこいと、言われたくないのだろう。

 三人の中で、一番知識という点については浅そうな人間が知っていたと言いたいようだ。

 母の祖国の話は、少しだけ聞いたことがある。

 しかし、何というか。

 想像もつかない魔法の国のような話で、混乱したことだけは覚えている。

 一番熱心に話したのは、向こうの植物の話だったのは、母らしいが。

「爆弾を調べるために、学者と職人を集めようと考えてます」

 敵を知ることは、大事だ。

 敵の武器が、魔法以外の未知のものだというならば、なおさら。

「学者と職人か…」

 分散した技術や知識の集約。

 農業の部門では、母の働きもあり小さな村の口伝などの情報も集まりつつある。

 それを更に深め、生かすための場所が──この国には足りない。