アリスズc


 都に、帰ることにした。

 全ての準備が、整ったのだ。

 従兄のリリューと、山追のハチ。

 尾長鷲のソーと──片足のテテラ。

 詳しい理由を聞かずに、彼女は都へ行くと行ったのだ。

 そんなテテラのために、リリューが背負子(しょいこ)を手に入れてきた。

 背負える椅子、とでも言えばいいだろうか。

 ここから都までの距離を、従兄は背負っていく気なのだ。

 長いひざ掛けをすれば、彼女の足はよく分からなくなる。

「とても、見晴らしがいいわ」

 何しろ、長身のリリューの背なのだ。

 これまでより、遥か高くが見えるだろう。

 そんな姿で、町を抜ける道を歩くのだ。

 誰もが、彼らを振り返った。

 そして。

 誰もがみな──喪服だった。

 ロジアの死を、まだこの町は悼んでいる。

 そんな中を。

 黙々と彼女を背負い歩くリリューと、何を予感しているのか、ちょっとだけ晴れやかなテテラが通り過ぎる。

 桃は。

 もやもやする気持ちを、綺麗に拭いきれないまま、そんな二人と共に歩く。

 ピューイ。

 上空で、ソーが輪を描く。

「あら、尾長鷲かしら…カラディの好きな鳥ね」

 桃の連れだと知らないテテラが、珍しそうに目を細めて空を見上げている。

 彼女の綴った言葉のひとつに。

 胸が。

 ちくんと。

 痛んだ。