∠
オリフレアは、甘ったれで愚かな娘だった。
愛が欲しくてたまらず、自分は誰からも愛されていないと思い、愛をくれなかった母を憎んだ。
そして、その母が死んだ後。
いくらでも、母のことを調べることは出来たのに、彼女はそうしなかった。
憎みたかったのだろう。
母という人間こそが、自分の不幸の証なのだから。
テルは、そのオリフレア自身が作った傷を、容赦なくかっ切った。
誰が不幸なのか?
ヤイクに話を聞いた時、彼は片腹痛くてしょうがなかった。
彼女の不幸自慢な態度が、全て滑稽に見えたのだ。
月の首2千を、愛の証に積まれた者など、この世広しと言えども、オリフレアだけだろう。
頭を抱えて、その場にへたり込む彼女を、テルはソファに座ったまま見ていた。
ハレならば、慰めの言葉のひとつもかけるだろう。
他の女たちも。
だが、テルは違う。
オリフレアは、不幸などではない。
それどころか、イデアメリトスとして最上の愛を与えられた幸福な人間だったのだ。
幸せな人間を、慰める?
そんな馬鹿な話はない。
自分の柱となっていたものが、ガラガラと音を立てて崩れて行くオリフレアは、その瓦礫の中に茫然とへたりこんでいる。
空は青く、太陽は輝いているというのに、瓦礫を見つめて動けずにいるのだ。
「オリフレアリックシズ…」
呼びかけるが、反応はない。
「お前は、間違いなくイデアメリトスの人間だ。だから、俺はお前との間に子を成したいと考えている」
答えない。
「俺には、時間が足りないんだ……お前の母と同じように」
空虚な愛の言葉など──囁く暇もなかった。
オリフレアは、甘ったれで愚かな娘だった。
愛が欲しくてたまらず、自分は誰からも愛されていないと思い、愛をくれなかった母を憎んだ。
そして、その母が死んだ後。
いくらでも、母のことを調べることは出来たのに、彼女はそうしなかった。
憎みたかったのだろう。
母という人間こそが、自分の不幸の証なのだから。
テルは、そのオリフレア自身が作った傷を、容赦なくかっ切った。
誰が不幸なのか?
ヤイクに話を聞いた時、彼は片腹痛くてしょうがなかった。
彼女の不幸自慢な態度が、全て滑稽に見えたのだ。
月の首2千を、愛の証に積まれた者など、この世広しと言えども、オリフレアだけだろう。
頭を抱えて、その場にへたり込む彼女を、テルはソファに座ったまま見ていた。
ハレならば、慰めの言葉のひとつもかけるだろう。
他の女たちも。
だが、テルは違う。
オリフレアは、不幸などではない。
それどころか、イデアメリトスとして最上の愛を与えられた幸福な人間だったのだ。
幸せな人間を、慰める?
そんな馬鹿な話はない。
自分の柱となっていたものが、ガラガラと音を立てて崩れて行くオリフレアは、その瓦礫の中に茫然とへたりこんでいる。
空は青く、太陽は輝いているというのに、瓦礫を見つめて動けずにいるのだ。
「オリフレアリックシズ…」
呼びかけるが、反応はない。
「お前は、間違いなくイデアメリトスの人間だ。だから、俺はお前との間に子を成したいと考えている」
答えない。
「俺には、時間が足りないんだ……お前の母と同じように」
空虚な愛の言葉など──囁く暇もなかった。


