「かなり噂になってるからさー。
本当かと思ってさっ」
ニコッと笑うその子達は、きっと興味本意で聞いただけ。
…なんだ、笈原の事か。
でも、まぁ、
こそこそ指をさされながら余計なことまで噂されるよりは、こうやって聞いてくれた方がいい。
…でも。
「ねねっ、どうやって笈原を奪ったの?」
「すごいよねー!あの白崎から奪うなんてー」
聞くにしても、聞き方ってもんがあるよ。
あたしが笈原を奪った?
いつ、あたしが笈原を奪ったの?
…てか、笈原は物じゃない。
奪ったとか、じゃない。
笈原の意志で、あたしを好きになってくれたって
あたしは信じてるもん。

