良かったのだと、

正しかったのだと、


思わないとあたしはやっぱり頑張れなくて。



良かった。

正しかった。



だから、泣く意味なんてない。


泣く意味なんてないのに、涙が止まらない…。





「じゃあな、梨音」


そう言って遠のいていく足音。






――あたしの横を歩く君が好きだった。


繋いでくれる手が、

その横顔が、

見上げた先にある笑顔が。




…聞こえなくなった足音にあたしは思う。


もうきっと、その足音と共に隣を歩くことなんてない。


あたしと速度を合わせて歩く足音。




―――その足音が好きでした。