授業中、あたしはこっそりななめ前を見る。
同じ空間にいて、
同じ時間を共にして、
だけど利揮とは、あれ以来一度も言葉を交わせていない。
声は聞こえるのに、
笑顔が写るのに。
ここから、背中は見えるのに…。
だから、余計に悲しくなる。
前みたいにいきなり“友達”に戻れるなんて思ってなかったし、戻りたいとも思えなかった。
だけど、利揮。
心がポッカリあいているの。
利揮の笑顔が頭から離れなくて、何気ない言葉が忘れられなくて。
利揮を忘れるなんて、
あたしにはできるのかな。
ねぇ、利揮。
“忘れる”って何だろう。

