「詩乃佳」 その声にあたしは振りかえる。 「圭ちゃん!」 あれから、相変わらず先輩とは少しだけど連絡をとっている。 「今日は、学校来てるんだね」 「なんか色々あって」 「そっか。試験がんばってね」 先輩は、もうすぐ大学の試験。 だから、学校にいるのは珍しい。 「ん。お前も頑張れよ。じゃあな」 ポンッとあたしの頭に手をおいて、歩いていく先輩の後ろ姿を見つめてる。 「詩乃佳」 ……と、また名前を呼ばれた。