「……詩乃佳」

「んー?」


リビングで相変わらず何もしないでゴロゴロしているあたし。


今日で今年が終わるって言うのに、悲しい女だ。



「お客さん来てるんだけど」


困ったように笑うお母さん。



…お客さん。



「…ごめん、断っといて…」

「いや、ね?

なんか、名前言って下さいって言われて。…佐久間先輩って方、分かる?」

「…先輩?」

「やっぱ帰ってもらう?」


あたしを心配そうに見つめて、お母さんはそう言ってリビングから出て行こうとした。