べガとアルタイルの軌跡

その時、視線を感じてそっちを見ると、秋野さんがこちらを見ていた。

あっ、彼女の前で誤解されるような素振りは、マズイよね。



「じゃぁね」

私がその場を離れようと、槙原くんに背を向けたら。



「おいっ」

槙原くんに呼び止められた。

振り返る。



「仕事は慣れたのか?」

「うん、やっと慣れてきたかな?」

「だったら、たまには買い物に来て、顔見せろよ」

「えっ?」



『どうして?』……そう訊こうと思ったけど。



「槙原さん、レジお願いします!」

そう呼ぶ声がした。



「じゃあ、またな」

軽く手をあげて挨拶して、槙原くんはレジに走って行った。



嫌味は言われたけど、以前と変わらなかった。

なんだかホッとした。



この日を境に、私はちょこちょこ買い物で顔を出すようになった。