べガとアルタイルの軌跡

あれっ? どうしたんだろう?

そう思っていると。



ドン!

あっ。

誰かに軽くよろめく程度に、体当たりされた。



えっ、誰っ?

そう思って振り向くと。



ピシッ

今度はおでこに、デコピンをされた。



「痛っ」

「『痛っ』じゃねーよ、この薄情者がぁ」



懐かしい声。

懐かしい口調。

恐る恐る顔を上げると……笑顔の槙原くんが居た。



「ほれっ、今日はこれ買いに来たんだろう?」

グイッと私の顔の前に、買おうと思っていたお菓子が出された。



あっ。

「うん。よく分かったね?」

「何を今更。俺とおまえの仲じゃん」



……今でも、そんなふうに言ってくれるんだ……。



ちょっと切なくなった。

彼女が出来ても、多分、私は『親友』みたいなもんなんだね?



「ありがとう」

私はそのお菓子を受け取った。