私が2ヶ月前まで居た場所は……もう、今は、別の人の居場所……。
声を掛けられずに、その場を離れようとした時。
「あっ、竹下さん! お久し振りです!」
奈々美ちゃんが挨拶してきた。
「お久し振り。バイト、頑張ってる?」
私がそう言うと。
「毎日のように槙原さんに怒られながら、頑張ってます」
奈々美ちゃんの言葉に、思わずその場面が想像出来て、クスッと笑ってしまった。
でも、次に言った奈々美ちゃんの言葉に、笑いが止まった。
「槙原さんとあの新しくバイトに入った秋野さん、付き合ってるみたいなんですよね~。2人共趣味がバイクらしくて、一緒にレースとか見に行ってるんですよ」
……そう、なんだ……。
なんでだろう……泣きたい気持ち。
元カレに『他に好きな人が出来た』と言われて、フラレた時と同じ気持ち。
付き合っていた訳でもないのに。
その時、急に奈々美ちゃんがハッとして、無言のまま小走りで私の前から離れて行った。

