べガとアルタイルの軌跡

店長に相談したら、『残念だけど、仕方無い。こっちはなんとかするから、これからお世話になる会社を優先しろ』と言ってくれた。



私は8月25日で、長くバイトをしていたスーパーを辞める事になった。

店長にお願いして、当日まで黙っててもらったから、みんないきなりで驚いていた。



その日、槙原くんは休みだった。



怒る、かな?

怒る、よね?

ごめんね。

でも……『さようなら』なんて言われたくなかったんだ。



私だけが槙原くんと最後のバイトの日を知っていて、私だけがそれまでの2人の時間を振り返って、時々泣きそうになった。

ちょっと気まずくなって、ちょっとだけ距離が出来てしまっても……それでも、本当は私にとって『特別な』バイト仲間だったと、実感してしまった。



バカだよね、私。

でも、今更……どうしようもない。



そして、私は新しい場所で新しいバイトを始め、いずれは正社員として働く会社という事で、仕事を覚えるのに必死で、スーパーに顔を出す余裕が無くなっていた。