べガとアルタイルの軌跡


それから3日後。



「竹下さ~ん。奈々美、前から気になってたんですけど、質問してもいいですか?」

レジが隣同士で、お客様が居なくなった時、急に奈々美ちゃんが声を掛けてきた。



「何?」

仕事の話だと思ってそう訊き返したら……。



「竹下さんと槙原さんって、カレカノなんですか?」

一瞬、意味が分からなかった。



「前から気になってたんですよねぇ~。だって、槙原さんって女子には厳しいし距離置いてる感じなのに、竹下さんと接してる時だけ、なんか感じが違う気がするんです。付き合ってるんでしょ?」



奈々美ちゃんのワクワクした表情。

何故か小2の時の天文台で、クラスメート達にからかわれた時の事を思い出した。



「何言ってるの? みんなと同じ、ただのバイト仲間だよ」



嘘じゃない。

だって、私達の関係を説明するのに、それ以外の言葉が思い付かない。



その時。

「あっ、槙原さん」



えっ?

奈々美ちゃんの視線が私の後ろを見ていたので振り返ると、私のすぐ後ろに槙原くんが立っていた。