べガとアルタイルの軌跡

「でも、再会してからは『年に1度』どころか、ほとんど毎日会っていたよね? それって、七夕の話と違うよ」

「ちょっと違うけど……元々、年に1度しか会えなくなったのは、2人で居るのが楽しくて楽しくて、自分達の仕事をしなくなったから、天帝の怒りをかってそうなっただろ?」



そう言えば、そんな感じの話だったなぁ。



「俺達は楽しくても仕事はしてたけど、毎日楽し過ぎたから……きっと、就職したら同じ職場に姿が無くて、淋しいだろうなぁ……そう最近思うんだよ」



心の中が、じんわりと温かくなった。

よかった。

私だけじゃなかったんだ。



「俺、このまま終わりたくないんだ」



ドキッ

あまり聞いた事の無い、真面目な口調。



「俺達さ」

槙原くんがそう何かを言い掛けた時。



「なんだ~、先客が居るじゃん」

急にさっきまで静かだった場所に、遠くの方から話し声が聞こえてきた。