べガとアルタイルの軌跡

「槙原くん、誕生日おめでとう」

そう言って、ちゃんと隣に居る槙原くんの方を向いて、プレゼントを差し出した。



花火の方を見ていた槙原くんは、ピクッと反応してから、こっちを見た。

私の顔を見てから、プレゼントに視線をやる。



「俺の誕生日……知ってたんだ?」



えっ?

「だって、小2の時に」



そこまで言ってから、ちょっと考えた。

小2の時に話した誕生日を覚えている……なんて、もしかしたら、ちょっとストーカーっぽい?

普通は、忘れちゃうのかな、そんな昔に聞いた誕生日なんて……。

ちょっと不安になっていると。



槙原くんの表情が、急に変わった。

今輝いている花火のような、パーっと明るい満面の笑み。



「やっぱ、織姫だもんな。旦那の誕生日は、覚えてるか」



ドキン

その笑顔とそのセリフに、心臓が鳴った。