べガとアルタイルの軌跡

私も降りてみたけど、辺りは本当に暗くて、ほとんど何も見えない。



カチッ

そんな音と同時に、足元が懐中電灯で照らせれて明るくなった。



「はい、これ持って」

懐中電灯は2つあったみたいで、1つを渡された。

「こっち」

そう言ってから、いつの間にか花火と空のバケツを持ってた槙原くんが移動した。



あっ。

私も慌てて追いかける。

少し草むらを歩いた後、草1つ無いミニグラウンドのような場所に出た。



「川から水、汲んで来るから、準備してて」

それだけ言うと、槙原くんはバケツを持って何処かに行った。

よく耳を澄ますと、川のせせらぎが聞こえる。



私は槙原くんが置いていった花火セットの袋を開け、選び易いように並べた。

去年のは全部手に持つタイプの花火セットだったけど、今年のは地面に置いて見る筒状の花火も何個か含まれていた。



やってみたいなぁ。

辺りを見回すけど、暗くて槙原くんの姿は分からない。



待ってた方が、いいよね?

そうは思ったけど、好奇心に負けて1本だけ、地面に立たせて置いて、火を点けた。