べガとアルタイルの軌跡

「うん」

そう返事をして、私は初めて槙原くんの車に乗った。



「よし、じゃぁ、出発♪」

運転席に乗り込むと、楽しそうにそう言い、槙原くんは車を走らせた。



何処に行くんだろう?

でも、訊いてこないところをみると、自分で何処か決めているんだと思う。



「今日のバイト、どうだった?」

運転しながら、そう声を掛けてくれた。



『どうだった?』の意味……私の事じゃないのは分かる。

この辺は、もうバイト最古参同士になった私達の『阿吽の呼吸』みたいなものだった。



先月から新しくバイトに入った奈々美ちゃん。

まだちゃんとレジの仕事も覚えていないのに、品出しとか他の仕事もしたがって、いろいろと扱いが大変な子。

女子のバイトなので、基本的な指導は私がする事になっていて、私が休みの時とか槙原くんがフォローしてくれていた。