… …… ………あれ。 何秒経っても、先輩からの応答がない。 「……中川さん?」 「っは、はいっ。」 やっと聞こえた先輩の声。 さっきより…明るいような気がするのは、気のせい? 「頭、上げてよ。 俺…そんなに怒ってるみたいだった?」 「ぁ、いや…あの…」 顔を上げて表情を伺うと、優しい瞳をした先輩に戻っていた。 ……よかった。 「怒ってた…というか、ちょっと面白くないことがあったからさ。 ごめんね。中川さんの所為じゃないよ。」 「……ぁ。」 眼鏡の奥に光る瞳が細められた。 .