頭がパニックになる。 だって、善樹が来るはずだったのに。 普通の服を着た、バイト帰りの善樹が隣にくるはずなのに。 「…先輩は、彼女と行かなくていいんですか?」 「え?」 「あたしは善樹と行くんです… 先輩とは行きません。」 誘ったのはあたしなのに。 最低な女。 こんな女は、早く忘れてください。 今は5時半。 本当なら善樹が来る時間。 なのに、来たのは神崎先輩。 あたしは、善樹と行くの。 先輩は……… 「…俺、彼女いないけど?」 だから、その言葉に驚いたんだ。 .