駆け込んできた人はスーツ姿だった。 会社の帰りかな…? 黒いバッグを肩にナナメ掛けしている。 黒のスーツが雨に濡れて少し変色していた。 短くツンツンとしていたであろう髪型は雨で崩れていた。 顔はよく見えなかった。 その人はバッグから白いタオルを取り出して濡れたスーツやバッグを拭き始めた。 私には気付いていないようだった。