7月に入ったばかりの日の夜だった。 「箏音、座りなさい」 急にお父さんとお母さんに呼び出されて 向かい合わせに座らされた。 お父さんもお母さんも渋い顔をしている。 「…?どうしたの…?」 私は状況をまったくつかめず 両親の顔をじっと見つめた。 「箏音…今の学校は好きか?」 「え……好き…だけど…?」 質問の意図が掴めなくて疑問系になってしまう。 お父さんは辛そうに息を吐いた。 「箏音には悪いけどな……」 お父さんは少し間を置いてから言った。