「じゃ、行ってくる。」
「うん、気を付けてね。」
「おぉ。」
いつものように、私と茉央は、かーくんを玄関先まで見送る。
最近、茉央はかーくんが出て行く時に泣かなくなった。
今は私の隣に立ち、笑顔でかーくんを見上げてる。
そんな茉央の頭を、かーくんはその場にしゃがみ込み、少し乱暴に撫でた。
「茉央、偉いな。」
「まお、いーこぉ?」
「そうそう、茉央はいい子だよ〜。それに、茉央はお兄ちゃんになるもんな!」
実は…
茉央が泣かなくなったのは、かーくんが『茉央はもうお兄ちゃんになるんだよ』と言った次の日からなんだ。
「まお、にぃになる!」
「よし!カッコいいぞ〜茉央!」
茉央は茉央なりに『お兄ちゃんになる』自覚を持ってるんだね…