今はもう、希と茉央と生まれてくる子供がいればそれでいい。
他には何もいらない。
俺はそれだけで幸せだ。
「茅原先生……離してもらっていいですか?」
本当はブチギレしたいところだけど、我慢して冷静に振る舞ってるんだから、ありがたく思って欲しい。
陽翔め…
明日絶対絞めてやる─
「渚ちゃん、でいいですよぉ?皆さんそう呼んでくれるのに〜、杉田先生だけ茅原先生って…なんか寂しいですぅ……」
あっ、そう。
勝手に寂しがってて下さい。
俺には関係ないし。
「はは…考えときます。」
と思いながらも、曖昧な言葉でその場をやり過ごす。
結局─
離してもらえたのは、それから15分も後だった。
まだまだ続きそうな飲み会にうんざりな俺は、適当に言い訳して1人先に店を出た。