俺は元々、冷たい氷のような冷徹人間だった。
何もかも嘘だらけで、全ての人を憎んで、自分を騙して生きてきた。
そう…
希に出逢うまでは─
そんな俺が…
愛する人と家庭を築き、さらに人の親になった。
未来は…
変えられるんだな。
いくらでも─
「…かーくん?」
昔の思い出に浸っていると、お風呂から上がってきた希がいつの間にか目の前にいた。
「あ…茉央、寝ちゃった?」
「うん…」
俺の腕の中で眠る茉央のほっぺを指でつつく希は、すっかり母親の顔をしていた。
昔は『私…ちゃんと、この子のママになれるのかな?』なんて言って、泣きべそかいてたのに…
「可愛い、茉央。でも…」
「ん?」
「なんか…悔しい。」
悔しい…?
「なんだよ…希。茉央にやきもち妬いてんの?」
「ち……っ、違うよ!」
希…バレバレ。
また顔真っ赤だし…