「かーくん…」



色々あったけど、全部2人で乗り越えてきた。



時には…3人で。



だけど、かーくんがこんな風に弱気になってるのは初めて見た。



私はかーくんの腕の中で反転して、その大きな背中に手を回した。



「バカだなぁ…俺。今、すごく幸せなのに─希と結婚して、茉央を授かって…」



そっか、わかった。



かーくんは、怖いんだ。



今の幸せが…私と茉央が、いつか自分の前から消えちゃうんじゃないかって。



かーくんの過去を知ってる私だから、すぐに見当がついた。



「大丈夫だよ…かーくん。私はいなくならないから。もちろん茉央だって同じだよ。ずっとかーくんの側にいるから…ね?」



「希……ごめん。情けないよな…俺。」



「そんなことないよ。」



私はそう言うと、茉央をあやす時にするように、かーくんの背中を優しくぽんぽんと数回叩いた。