突然声がしたと思ったら、さっきまで寝ていたはずのかーくんがうっすらと目を開けていた。



「!……おはよう。」



「ん〜…おはよ。」



そうは言ったけど、かーくんはまだ眠そうに目を擦り、ふと横を見た。



「……茉央。」



茉央の名前を呟いた途端、かーくんはさっきの眠そうな顔とは一変して、優しい笑顔になった。



「そう言えば…希、さっき俺のこと見てただろ?」



茉央の頭を撫でながら、かーくんは小声で言う。



茉央を起こさない為…か。



「…バレた?」



「うん。で、何考えてた?」



ひょっとして、寝てたのも演技だったりする?



それは…ないか。



「昔のことだよ。付き合う前のかーくんのこと思い出してたの。」