いまわちょっと泣きべそな愛さん。
年下なのに“さん”づけなのわ、愛さんの女王様キャラがあまりにも完璧だから。
「愛ちゃん、また泣いてる〜」そのままクスクスと笑いだしそうなほどのんきな声がして、あたしたちわ顔を上げた。
[月下美人]のナンバー1、乃愛さんが立っていた。
艶やかな髪を琥珀に輝かせる彼女わ、天然で“女のプロ”であることを見る者に悟らせるようなオーラがある。
といってもセクシー系というわけじゃなくて、むしろ童顔で。まだ少女のようなその横顔わ、仕事に入るとさらに印象が幼くなる。
乃愛さんわ、いわゆる姫キャラ。
ほわほわふわふわした雰囲気で、風に吹かれても折れてしまいそうなほど頼りなく見える反面、甘えたそぶりを見せながらも、乃愛さんわ決して自分を他人に明け渡したりわしない。
それを嫌味に感じさせないあたりが、プロなんだ。
「いつもみたいに、一杯空けたあたりの時間を見計らって電話しようか?」
『けど乃愛さん、今日佐木中先生とアフターじゃなかった?』
