「いてて…むかつく」
「かおちゃん、顔凄いよ!また喧嘩?」
「違う。一方的に物を投げつけられたの。」
私は頬の赤みを取るために、氷を当てる。
目の前の唯一の友人はくすりと笑う。
「かおちゃん、でももちろんやり返したよね?」
「もちろん。」
そう答えると友人はおかしそうに笑う。
私の唯一の友人、リオ。
彼女は、私とは違う。
彼女はベルリク國で、優秀な名家のお嬢様。
兵士団に入団するために、この学校に通っている。
私はシン族ということを隠し、元農家の娘、現在孤児。
騎士団に入団するために、この学校に通っている。
彼女は人気者。私は騎士団志望ということから最初から嫌われ者だった。
そんな人気者の彼女だけが私に近寄ってきた。
「私、リオっていうの。薫さんって、騎士を目指しているんでしょ?凄いね!私は兵士志望なんだけど、良かったらお友達になってくれない?」
「…はい?」
空いた口が塞がらないとはまさにこの事だった。
何故人気者の彼女が私に声をかけたのだろうか?
私は、他國の者と仲良くなる気などなかった。
私たちの國を焼き払い、さらにこいつらは禁忌を犯した者だ。
他國が私たちを嫌うのであらば、私たちも他國を嫌おう。
憎い、憎い、憎い。
話しかけてくるな。
「話しかけないで。私はあなたと仲良くするつもりなどないわ」
気付いたらそんな言葉を彼女にぶつけていた。
「なんで?」
彼女は不思議そうに首をかかげた。
「なんでもいいじゃない。」
「なんでもよくない!」
「は?」
「私は貴女と仲良くしたい!友達になりたいの!」
「意味わからない…」
「私は、貴女と友達になるにはどうすればいいの?」
「…知らないわ」

