鉄平は、頭に乗せていたタオルを首にかけた。




「確かに・・・・・・ だって、好きじゃないのに付き合っても楽しくない」



「変わらないでくれよ。凛は凛らしく、そのまま大人になれよ」




とても、穏やかな表情だった。


優しくて、包み込まれるような顔と声。





「は・・・・・・い」



「約束だからな」



「はい・・・・・・」





立ち上がった鉄平が私に近づいてくる。


動けない。





「約束の握手」



鉄平は右手を差し出した。


私はゆっくりと右手を鉄平に近づけた。





握手。


ゆっくりと握手をした。





その手が・・・・・・




引き寄せられて。







気がつくと、鉄平の胸の中にいた。