もちろん約束などしていなかった。 陸は目を点にし、『何のこと?』と言う顔をしていた。 「何?トイレ行きたいわけ?」 陸は慌てて首を横に振る。 「じゃあ行くぞ?」 田村は陸の腕をグイッと引っ張る。 「悪いけどコイツ借りてくよ?」 と言って陸を連れ出した。 由羽希は唇を噛んだ。 まるで恥をかかされた気分だ。 「何よあれ。恋愛感情無いって言ったのに!!!陸、許せない!!」 と壁を蹴りつけた。