「ねえねえ、聞いた?」 「な、何が…?」 …変。 何か、変。 「出たんだって、幽霊が…!」 昨日の繰り返しのように香奈枝がしゃべる言葉に、紗希はじわじわと不安を感じた。 「ゆ、幽霊…?」 「そう! 『愛しのサキ』が!」 香奈枝は満面の笑みでうなずいた。 その言葉に、紗希の頭の中は真っ白になった。 『愛しのエリー』ではなく、サキ…? あたしの名前と、一緒…?