音がどこから鳴っているのか、わからない。 紗希はただ、航平の顔を見て、安心したかった。 その一心で、斜め後ろにいる航平を見上げるように、ふり返った。 『…ね、ぇ』 「ヒィッ」 紗希は息を飲んだ。 さっきまで二人がいた踊り場に、長い黒髪のセーラー服姿の女の子が立っていた。 『…エリー、知らな…イ?』 表情は見えないのに、その女子がニタッと笑った気がした。 航平もふり返り、二人は呆然と固まっていた。 『え、リー…?』