水木先生はホッと顔をゆるめた。 「…そう、よかった。さ、席に着きなさい」 「はーい」 香奈枝は間のびした返事で、自分の席に向かった。 紗希もその後に続こうとする。 その時、水木先生のつぶやきが聞こえた。 「…エリー…だ怒って…の?」 紗希は立ち止まって、先生を見た。 先生は紗希の視線には気づかず、 うつむき加減で何かもの思いにふけっている。 「紗希、何してるの?」 「あ、ごめん」