「ちぃーさとっ!」

教室に入ると、恵美ちゃんが駆け寄って来た。



「ぁ、恵美ちゃん。おはよ」

恵美ちゃん、こと、宇津野恵美(うつのえみ)。

私の小学校時代からの親友だ。


黒のショートヘアが良く似合う美少女。



「千里さぁー、今日も秋人くんと来たの?」

「?そうだよ?」


ヨイショ、とカバンを机の上に置く。



「はぁー・・・、千里って一途だよねぇ」



一途・・・。

違うよ。

一途なんかじゃないんだよ、恵美。


私はただの諦めがつかないしぶとい女。

一途って言えば聞こえが良いけど・・・。


もう十数年も片想いしてるもん。

・・・いい加減諦めなきゃイケナイの。