カラン、カラン、と下駄が 奏でる音がアスファルトの 道に響く。 「玲、…玲ったら!」 止まる気配のない 目の前の男に半ば諦めながら 呼び掛けてみるものの、 返事もない。 掴まれている手を 握り返すように 少し力を込めると、 そのまま腕を強く引かれた。 「きゃっ……」 よろめいた体を玲に 受け止められ、 気づいた時にはすっぽりと 両腕の中におさまっていた。 一気に近づいた距離と、 ふわりと夏の風に乗って漂う 玲の甘い香りに急激に鼓動が 速くなるのを感じた。