悲しそうな表情をグッと堪えて、“謝らないでって言ったでしょ?”と。



自分の感情すら押し殺す真咲の言葉に、ひとつ頷く事しか出来なかった俺。



当たり前だが――人を刺すという行為は、絶対に許されるものではないけど。



いつも仕事に対して誠実で、同じ仲間としてプロジェクトを成し遂げて来た。



そう昔から知るメアリーだからこそ、そして自身の愚かさを感じているからこそ。



許す・許さないとか、ふつふつと怒りが湧き上がる事もない不思議な心境だ。




「この先、迷惑かけるかもしれないな…」


但し…自分の優柔さが招いた事件のお陰で、周りにかけた迷惑は計り知れない。



このまま事件をおざなりに出来るほど、外資は甘くないのも現実だから…。




「良いよ――もし、大和が辞める事になっても」


「・・・え?」


真咲からサラッと飛び出た驚きの発言に、俺の方が目を丸くさせられた。