少女は白いセダンの後部座席に乗り込み、すぐに消えてしまった。 観光客だろうか。そうだとしても、珍しい来客だ。 この村に外から人がやって来たことは、僕の記憶では一度もない。 独り言を呟きながらの散歩も、毎日すれば流石に飽きる。 家に帰るなり自分の部屋に籠り、夕飯も食べずに眠りについた。 こんなド田舎で反抗期の少年ができる非行といえば、こんなことしかなかった。