ハルは急に歩きだした。すると人とぶつかってしまった。そして倒れてしまった。すると、
男「大丈夫?」
ハル「私こそちゃんと前を見てなかったから…」
と言いながらぶつかった相手を見た、すると、前にぶつかった相手と顔がダブっていき、ぼんやりとした記憶が次第に鮮明に思い出された。その顔はトウマだった。ハルはやっと思い出すことができた。晴れ晴れとした気持ちになれた。…が次第に、トウマへの想いでいっぱいになった。今どこで何をしているのか。いてもたってもいられづ、走りだした。信号も確認せずに飛び出したので車が来ているのにまったく気づいていなかった。車の運転手がすぐに気づきギリギリのところでぶつからずに済んでいた。
車はクラクションを鳴らし走り去った。驚きのあまり座り込んでしまったハル。そこですべてを思い出した。事故にあったあの日。子供を助けようとしたのは自分だけではなかったということを。トウマも助けるために飛び出していたのだった…。二人を守るように…。
なぜ今まで思い出せなかったのか。思い出せない自分をハルは責めた。立ち上がり走りだした。向った先は自分の入院していた病院だった。あてがあるわけではないがきっと同じ病院だったんじゃないかと、なぜか自信に満ちあふれていた。