「………」
状況が飲み込めないあたしは、言葉も発さずにコウキさんを見つめる。
彼の視線もあたしに向いて、目が合った。
……本物?
コウキさんだよね?
幻じゃないよね――…
「なんつーアホ面してんの、お前」
「……っっ」
この意地の悪い発言。まぎれもなく、本物のコウキさんだ。
「ど、どうしてっ……」
うまくしゃべれないあたしに、コウキさんが一歩近づいた。
「お前らが帰る日、カズから電話があったんだ。そのとき聞いた。……お前が浮気なんかじゃなく、本気で俺を好きになってくれてたこと」
カズくんが……?



