バシッ!と小気味いい音と
拳に走る、たしかな手ごたえ。
……だけどそれは、狙ったはずのセンパイの頬じゃなかった。
「え……」
なだめるように、あたしの拳を包みこんだのは、大きな手。
……ハッキリと覚えている、温かい手……。
「コウキさん……っ?」
あたしとセンパイの間を割って
大好きな大好きなコウキさんが、そこにいた。
「やめとけ。挑発に乗ってもアホを喜ばすだけだから」
呆然とするあたしの拳を、そっと下ろさせるコウキさん。
……なんで?
ここ、東京だよ?
なんでコウキさんがいるの……?
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